未明離陸強行に抗議した後、記者団の質問に答える野国昌春３連協会長（中央）と東門美津子沖縄市長（左）、宮城篤実嘉手納町長（右）ら＝２１日午後、北谷町の嘉手納基地第１ゲート前

　【中部】今月１１日に米空軍嘉手納基地所属のＦ１５戦闘機４機とＫＣ１０空中給油機１機が未明離陸を強行したことに対し、北谷町、嘉手納町、沖縄市で構成する「嘉手納飛行場に関する３市町連絡協議会」（３連協）の野国昌春会長（北谷町長）、東門美津子沖縄市長、宮城篤実嘉手納町長、３市町の議会議長は２１日午前、嘉手納基地にブレット・ウィリアムズ第１８航空団司令官（准将）を訪ね、抗議した。
　一行は（１）午後１０時から翌午前６時までの航空機の飛行、エンジン調整の中止（２）本国への帰還、訓練での他基地経由、時間調整による深夜、早朝飛行の回避―をあらためて強く申し入れた。
　野国町長によると、ウィリアムズ司令官は抗議に対し、「何回も（中止）要請に来ているが、１０年後も同じようなこと（未明離陸）が続くだろう」と答えたという。司令官は抗議団に、「三沢や岩国では早朝や未明離陸を繰り返しても抗議はない。沖縄はなぜ抗議してくるのか」と質問したという。
　宮城嘉手納町長がクラスター爆弾や焼夷（しょうい）弾ＭＫ７７を積んだ戦闘機による嘉手納基地からの離着陸中止を求めたところ、「（離着陸）管理はわたしの仕事だが、訓練計画に関して止める権限はない」と回答したという。
　３連協が事前に中止を求めたにもかかわらず１１日未明に離陸が強行され、北谷町砂辺で最大１０９・９デシベルを記録し、住民の安眠を妨げた。

(9/21 16:02)

県民大会への参加呼び掛けについて話し合う真和志高校のインターメディア部の生徒たち＝２２日午後、真和志高校

　高校歴史教科書問題を主体的に学び、同級生らに「教科書検定意見撤回を求める県民大会」への参加を呼び掛けようと動きだした生徒たちがいる。今年７月に全国高校写真選手権大会（写真甲子園）で優勝した県立真和志高校インターメディア部（新里義和顧問）の部員で、２２日に糸満市の県平和祈念資料館を訪ね検定教科書展示を取材。早速、独自の「集団自決」新聞の制作や写真展を手掛けている。県民大会を見据え「全校生徒が問題を意識してくれれば」と意気込んでいる。
　インターメディア部は今年６月、沖縄戦の「集団自決」検定問題に抗議して「６・９沖縄戦の歴史歪曲（わいきょく）を許さない！県民大会」が県内で開催された際も、教科書問題を取材した。その後、部員の間で「教科書を使う高校生として、教科書問題に対し行動を起こそう」との意識がさらに高まった。
　部員８人は平和祈念資料館の教科書展示で検定前と後の記述の違いを確認し、「集団自決」の証言映像を見る来場者も取材した。県民大会に向けた取り組みも話し合い、校内放送や担任を通じた全校生徒への大会参加呼び掛けや、新聞・写真の展示などを決めた。同校の玉城仁校長からも活動の許可と全面協力の約束を取り付けた。
　部員の喜納ティルルさん（２年）は「教科書問題は、わたしたちの問題でも、次の世代の問題でもある。大人だけでなく、子どもも頑張らないといけない」と力を込める。名嘉来実さん（同）は「校長先生から２５年前の教科書問題で記述を変えることができたと聞いた。今回も希望が持てた」と期待する。
　３年生の北上奈生子部長は「教科書で勉強する立場からすると、事実じゃないことを学ばされており、どうなんだろうと感じる。学校全体でかかわれたら」と話した。
　部員の積極姿勢に新里顧問は「生徒たちが自主的に考えてやってくれている。頑張ってほしい」とエールを送った。

(9/24 11:02)

文科省に直接送ろうと浦添市職労が作製した巨大はがき＝浦添市役所

　【浦添】浦添市職労（久高政治委員長）は、２９日に開かれる高校教科書修正撤回を求める県民大会に向け、ベニヤ板で作った巨大はがきを作製。市職員や市民らに意見を書いてもらい、組合員５人を東京に派遣して“はがき”を文科省に送る予定だ。久高委員長は「大会に向けいろいろ工夫しながら組合員やその家族に参加を呼び掛けていきたい」と話した。
　巨大はがきの表には、同職労が作ったポスターを切手として張り付け、切手代として沖縄戦の犠牲者数２０万６５６人と明記している。裏には「歴史の事実を曲げるな」「県民は怒っている」など、組合員から募った意見を書き込んだ。
　作製した巨大はがきは５枚。市民からの意見も募る予定で、はがきは県民大会にも持って行く。組合員からのカンパで派遣団５人の旅費を工面し、直接文科省に届ける予定だ。２６日は、午後５時半から市役所９階講堂で「集団自決」体験者の与儀九英さんを招いて講演会を開く。

(9/24 9:47) 

　【東京】米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価（アセスメント）の方法書に関し、日本自然保護協会は２０日、ＩＵＣＮ（国際自然保護連合）の勧告（２００４年）で求められている複数の代替案の検討が行われていないことなどから必要な要件を欠いているとして、方法書の撤回と位置選定を含めた手続きのやり直しを求める意見書を沖縄防衛局に送付した。協会理事の吉田正人江戸川大教授は同日、環境省で会見を開き「このまま調査を進めれば辺野古に生息するジュゴンなど希少生物への影響が過小に評価される恐れがある」と述べ方法書の撤回を強く求めた。
　日本自然保護協会は生態学などの専門家６人で検討委を組織。全員が方法書に問題があるとの見方で意見書を作成した。
　協会はそのほかの問題点として（１）本体工事に伴い建設される作業ヤードや埋め立て土砂発生区域の詳細が示されず具体的なアセス対象になっていない（２）ヘリの飛行経路など不確定な記述がある（３）地形、潮流、水質などの変化が生物へどう影響を与えるかの視点の欠如（４）採用した調査結果や文献が防衛省などが実施したものに偏っている（５）公告縦覧の方法がコピーを禁止するなど極めて閉鎖的―などを挙げた。
　協会保護プロジェクト部の小林愛氏は「辺野古海域の最大の特徴である『サンゴ礁生態系』と『内湾生態系』が一緒に存在していることなどに触れず基本的な視点が欠けている。ジュゴンの餌となる藻場の調査範囲も狭い」と批判した。

(9/21 9:36)